仮想通貨の詐欺(マルチ商法)に引っかかった高齢者の救助に失敗した顛末
みなさんどうも仮想通貨!BTCFXに疲れてお休み中の@xi10jun1です。
知り合いの高齢者の方がいるのですが、とうとう仮想通貨の詐欺(マルチ商法)に引っかかってしまいました。
もしかしたら似たような状況の方がいるかもしれませんので、こちらの記録がお役に立てれば幸いです。
仮想通貨の詐欺(マルチ商法)と状況の整理
まず状況を整理するため、以下このようにします。
- 高齢者:仮にAさんとします
- 仮想通貨:ここでは仮に、PNKT(ポンコツコイン)とします
- Aさんの詳細:普段から怪しい儲け話が大好きで、いわゆるインチキな情報商材のメールや動画を頻繁に見ている。曰く、『私は何か申し込んだり、お金を払ってしまったことはない!』そう(自称)。
- 状況:そんなAさんが、とうとうマルチ商法に引っかかってしまった
厳密に言えば、ねずみ講やポンジスキーム、MLM(マルチレベルマーケティング)と呼称するのが相応しいかもしれません。しかし今回のケースは、それらを掛け合わせた複合的な感じで全容が複雑でした。
そのため便宜上『マルチまがい商法』と呼称しようと思いましたが、今は「マルチ商法」として統一されたようですね。
法改正により規制が拡大されたため、連鎖取引販売はすべてマルチ商法となり、マルチまがい商法とマルチ商法は同一のものになりました。
というわけで、以下、「マルチ商法」として呼称します。
PNKT:ポンコツコインのスキーム
Aさんから伺った話だと、スキームはこんな感じです。
- 口コミ経由で知り、入会金を払ってコミュニティに入会(LINEで回ってきたそうで、この時点でお察し)
- 権利に投資する
- 権利が行使されると、仮想通貨(=PNKT:ポンコツコイン)が分配されて受け取れる
- 受け取った仮想通貨を使って買い物や旅行に行ける
- 誰かを紹介することでも仮想通貨が受け取れる
Aさんが参加しているコミュニティはLINEでグループを作っており、その代表とされる男性が、『PNKT:ポンコツコインは日本と海外で上場を目指している』と言っているのだそう。
またPNKT:ポンコツコインを使って海外旅行に行ったり、コミュニティ内でセミナーがあったり、そういった活動があることが信ぴょう性を高めている様子でした。
仮想通貨=PNKT:ポンコツコインの評判
- PNKT:ポンコツコインは日本で使えない・販売もできないこと
- 元々の運営母体の社長が逮捕されていること
- マルチ商法的なスキーム
結論から言って、PNKT:ポンコツコインは詐欺・マルチ商法の類でしかありませんでした。仮想通貨に多少触れていて一般常識を持ち合わせているなら、0.3秒で見抜けるレベルです。
しかし、Aさんは僕の話を全く信用してくれなかったのです。
Aさんは"信ぴょう性の演出や権威に弱く信じやすい性格"だった
Aさんを説得しているうちに、こんな特徴的な受け答えが返ってきました。
- 動画で名前も顔も出している
- エンジニアの人がコインを作ったって言っている
- こういう良いニュースがある
これらがあるから、詐欺やマルチ商法ではないと言うのです。
もちろんこれらは、
- 動画で名前も顔も出している(名前は偽名かもしれないし、顔出したからって信ぴょう性が担保されたわけじゃない)
- エンジニアの人がコインを作ったって言っている(誰だってトークンは発行できる)
- こういう良いニュースがある(悪いニュースだってある、しかも山ほど)
となるわけですが、このAさんは『信ぴょう性の演出や権威に弱く、人を信じやすい』性格でした。
とにかく『この人(専門家・社長・代表)がこういうふうに言ってるよ。』と、権威ある人の言うことだから信じられるの一点張り。よく『何を言ったかより、誰が言ったか』なんてありますが、あれの負の側面がこれです。
そこに確証バイアスも手伝い、都合の悪い情報は見ない、聞かない、理解しない。
だから僕の話は信じてくれなかったのです。
認識のズレとマーケティング手法の悪用
僕がしきりに詐欺だマルチだと説明しても、「この人たち(LINEグループに写っている人)は、実際にコインを使って海外に行っているから詐欺じゃない!どうして詐欺だと決めつけて、そういうこと言うの?」という謎理論が返ってくるのです。
ここで初めて、詐欺やマルチ商法というものに対する認識のズレがあることが分かりました。
僕が言っている詐欺やマルチ商法とは、このコインの存在とマルチ的なコミュニティそのもののこと。
そこに虚実は関係なく、仕組み自体が包括的にアウトなわけです。
でもAさんにとっては、
- 実際にコインがある
- コミュニティが存在している
- セミナーがある
これらが事実であるがゆえに、詐欺やマルチじゃないという認識なのです。
この場合、Aさんの1つ上の人も、この仕組みが詐欺的なものだとは気づいていない(つまりカモのカモである)可能性があります(その意味で、詐欺的な雰囲気がないからこそAさんは信じてしまった)。
被害者が加害者になってしまう、マルチ商法の特徴です。
フロントエンド商品とバックエンド商品
Aさんが言ったコインやコミュニティは、マーケティング用語でいうところの「フロントエンド商品」になります。
つまり無料の商品やお得で確かな情報など、集客コンテンツのことです。
そうして入ってきたカモに対し、「分配金として仮想通貨がもらえる」「もっと儲かる方法がある」などと謳い、「バックエンド商品」として高額な何かを売りつける(今回は権利への投資)というわけです。
つまりこうなります。
- フロントエンド商品:存在するコイン、コミュニティ、セミナー、旅行
- バックエンド商品:大きなお金の投資で得られる(または勧誘しても受け取れる)仮想通貨
だから「フロントエンド商品」の存在そのものに、嘘偽りは関係ありません。
そもそも包括的にアウトなんですから、「フロントエンド商品」が事実だから詐欺じゃないだなんて、早計と言わざるを得ません。
この「フロントエンド商品」と「バックエンド商品」を使った販売方法は、れっきとしたマーケティングの手法です。
が、それを悪用したのがこのPNKT(ポンコツコイン)というわけです。
騙されるだけなら放っておくけど、マルチ商法ではそうはいかない
本来であれば、いつも通り聞き流す予定でした。
Aさん一人が騙されるだけなら、いくらでも騙されればいい。そんなの自己責任だし、本質が見極められない、バイアスがかかっていることに気が付かないんだから、こっちも知ったこっちゃない。
が、マルチ商法ならそうもいきません。
マルチ商法が最も特徴的なのは、被害者が加害者になってしまう可能性があるところです。
- 勧誘されてカモになる(被害者)
- バックエンド商品を買う
- 上の人間になって勧誘し始める(加害者)
たった3ステップで立派な加害者が出来上がってしまいます。
ましてAさんは『信ぴょう性の演出や権威に弱く、人を信じやすい』性格ですから、3の加害者になる可能性が非常に高いわけです。僕にすら最初、『この仮想通貨すごいんだよ』って言ってきたくらいですから。
そうなると、僕の身の回りの大切な人たちを勧誘してくるかもしれないわけです。特に田舎という狭い空間内において、巡り巡って繋がってしまう可能性は低くありません。
だからそんな加害者予備軍になりかけているAさんを咎めたんですが、残念ながら、今回それに失敗してしまったというわけです。
まとめ:カモは痛い思いをしないと分からない
とりあえず、Aさんに対しては言いたいことだけは伝えましたが、結局、考えを改めることはありませんでした。
Aさんは常に、『儲け話に乗って良い思いをしたい欲求を満たしてくれる何か』を求めているような節がありました。念願叶って儲け話に乗っかった結果がマルチ商法とは、笑えなくても冗談であってほしかった。
が、結局こういったカモは痛い思いをしないと分かりません。それもかなりの激痛になるかもしれませんが、自業自得です。
できれば何かの拍子に改心してほしいなぁと願うばかりです。
参考:もし詐欺(マルチ商法)引っかかったら
今後、こうした仮想通貨を使った悪質な儲け話が増えることが予想されます。
万が一自分、あるいは身内が詐欺(マルチ商法)に引っかかったときのための相談先・対処法を簡単にまとめておきます。
消費者ホットライン:188(いやや)
消費者ホットラインは、全国共通の電話番号です。
どこに相談してよいか分からない場合に、近くの消費生活相談窓口の存在や連絡先を教えてくれます。
消費者ホットラインについてはこちら
消費者団体訴訟制度
「消費者団体訴訟制度」は、被害者に代わって国が認定した「適格消費者団体」が裁判を起こしてくれる制度です。
この裁判で差止め請求できるもののなかに、「連鎖販売取引における不当な行為」(つまりマルチ商法)が含まれています。
詳しくはこちら→消費者団体訴訟制度(団体訴権)の紹介_国民生活センター
消費生活センターへの相談
一番はこれですね。最寄りの消費生活センターに相談しましょう。
それで、以前身内が詐欺に遭ったときに消費生活センターに相談したことがあったので、そのときの記事を書きました。
相談前にやるべきことをまとめましたので、こちらも参考にしてください。
https://ytrsdijun.com/archives/10689
~注目:M&Aマッチングサービス~
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