原油安で喜んではいけない4つの理由!円高株安になるかもしれない。
どうも!車を持っていないので原油安の恩恵がイマイチない@xi10jun1です。
「灯油が安くなったわ!」
喜ぶ母を尻目に、日経平均の下げ幅におののいている息子の僕。
原油安が喜べない理由1:中国の景気減速
最近よくニュースで騒がれている原油安。
きっかけは中国の景気減速にあります。
成長が鈍化してきた中国
中国がどれくらいの成長率を誇っていたかのか、IMFの公式サイトで記録が残っている1980年から2015年までを調べたところ、次のような結果が得られました。
年 1980 1981 1982 1983 1984 成長率(%) 7.910 5.243 9.057 10.853 15.176 年 1985 1986 1987 1988 1989 成長率(%) 13.466 8.846 11.583 11.281 4.063 年 1990 1991 1992 1993 1994 成長率(%) 3.839 9.179 14.300 13.900 13.081 年 1995 1996 1997 1998 1999 成長率(%) 11.000 9.900 9.200 7.833 7.620 年 2000 2001 2002 2003 2004 成長率(%) 8.431 8.300 9.082 10.025 10.085 年 2005 2006 2007 2008 2009 成長率(%) 11.310 12.677 14.162 9.635 9.200 年 2010 2011 2012 2013 2014 成長率(%) 10.600 9.500 7.748 7.685 7.300 年 2015 成長率(%) 6.813(IMF試算)
こうして見てみると、中国の成長率が10%を越えたのは最近の話だけではないんですよね。80年代、90年代、2000年代と、各時代で10%代の成長を果たした時期がありました。
さて、2014年から2015年にかけて、中国経済の成長率が鈍化しているとのニュースがたびたび報道されていましたがどうでしょう?実際は2010年をピークに、鈍化しているのがわかります。急激な下落というより、ジワジワといった感じです。
中国での原油需要減少
原油をドンドン消費して、ドンドンものを作って、ドンドン売る。
これが成長していたときの中国ですが、成長率が下がるということは、この流れが弱くなったことが原因です。景気が良くなった分物価が上がり、人件費が上がり、生産コストが上がったので、採算の取れない会社が倒産してきたのです。
すると、原油の需要が減っていきます。
原油安が喜べない理由2:減産すると産油国経済にマイナス
中国の経済が悪くなっていくということは、これまでガンガン使っていた原油の需要が落ち込むということ。需要より供給が多くなれば、おのずと価格は下がりますよね。
そうなった場合、産油国は減産することで供給量を減らし、価格を一定に保とうとします。
しかし、それができない事情が産油国にありました。
産油国の財政
産油国(特に中東)は、原油(石油)の販売価格がそのまま自国の財政に影響します。
しかし、このところの原油安の影響で財政的にピンチになってきた産油国。とりわけロシアなどは、クリミア侵攻の件で経済制裁を受けていることもあり、財政的にも減産はできないのです。
減産について
減産についてはこちらの記事が分かりやすかったです。
今回の原油安問題を複雑にさせている要因の1つに、産油国の原油価格均衡ラインが2種類あることがあります。ロシアや中東各国の財政は石油に依存しており、1バレル=100ドル前後でないと財政が均衡しません。40ドル割れの原油価格では大幅な財政赤字で苦しい状況です。しかしその一方で、採掘する際の均衡価格は遙かに低く、たとえば、サウジアラビアでは原油価格が10ドルとなっても利益が出ると見られています。ロシアも原油価格が30ドルを割っても、まだ利益が出るという低コスト採算なのです。
すると、収支的に利益の出るうちは、1バレルでも多く採掘して売却し、赤字財政を支えようとするので、各国は今も過去最大級の生産を続けているわけです。
財政のためには、減産するより少しでも利益を得ることを優先しているのですね。
原油安が喜べない理由3:損失の穴埋めに株を売りにくる
それでも、埋められない損失があれば、保有している資産を売却して現金化するしかありません。
国レベルで保有していて、比較的短期間に現金化できるもの。
それが株式(債権・ファンドなど)です。
そして、その現金化に伴う売り出しが1国ならまだしも、産油国全体で同様の動きが広まったらどうなるでしょう?
それがこのところの株安の原因とされています。
原油安が喜べない理由4:株安と同時に、不安から円高へ
株を売り出した結果、世界的に売りの圧力が高まります。産油国経済はもちろん、元はと言えば中国経済の先行き不安が発端ですから、不安が不安を呼んでいる状態です。
そして、通貨はより安全なものを求めるので、円が買われる、つまり円高というわけです。
だから日経平均が下がり、ドル円が円高方向に向かうわけです。
まとめ:原油安は日本経済にプラスとも言い切れない
ガソリンや灯油の価格が下落したからといって、喜んでばかりもいられません。
原油は特に、政治的側面の強いコモディティー(商品)です。価格が下落するということは、産油国の財政には悪影響となるので、財政不安を招きやすいのです。
さて、これを母親にどうやって説明するか・・・。
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