Kifutown(キフタウン)で寄付金控除を用いた格差是正策『次世代納税』ができないか?
みなさんどうもKifutown。そのうち寄付側で利用してみたい@xi10jun1です。
先日、個人間で寄付ができるサービスKifutown(キフタウン)をインストールしたので、さっそく既にフォローしてる人の寄付に応募してみました。抽選なので当たるといいな。
で、これを格差是正の策としてもっと応用できないか?と思いたったのでブログにしてみます。
現行の資本主義経済では格差是正は難しい
格差問題が世界的なトピックになって久しいですが、抜本的な対策が取れていない現状があります。
SDGsと呼ばれる新しい概念も登場していますが、日本で話題になっているのは環境問題や食品ロスばかり。おかしいですよね?SDGsのイの一番にある『貧困をなんとかしよう』をすっ飛ばして環境問題ですか。
ずいぶんとファッショナブルな問題意識と都合のいい目標だなって個人的には思うし、なぜ格差是正を謳う話はとんとお目にかかれないのか。
そもそも日銀が掲げる物価安定目標の2%に一度も到達していないくらい、日本だけデフレの時代が長すぎます。原因ははっきりしていて、現役世代のお給料が増えないのに消費税やら社会保険料を取り過ぎて、彼らの可処分所得つまり自由に使えるお金が減っているからです。
『アベノミクスやー』って日経平均が倍以上に上がって資産を増やした投資家がいる一方、「なんで日々頑張っとる労働者のお給料が倍にならんのや?」って話ですよ。そりゃ最低賃金はちょいちょい上がってるけど、それを上回る勢いで税金も社会保険料もマシマシなんだもの。
副業?投資?
まず本業で生きていけて、将来に備えて貯蓄できるだけの賃金が基本じゃないんですか?その上で『もっと豊かになりたい、自由にやりたい、資産を増やしたい』からそれをすればいいのであって、本業からの賃金もとい可処分所得の問題を副業や投資で賄わなければならないとするのは根本的におかしい、って話をしているんですよ。
なにより、残念ながら日本では教科書通りの金融政策じゃ物価も給料もロクに上がらんのがこの30年で分かったのだから、日銀ももっと違う方法を模索したらいいのに。少なくとも株価と同じくらいお給料も支えるオペレーションがあってもよさそうだけど、『気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション』とか言ってる場合なんですかね?必要かもしれんけれども。
じゃあと言って『お金持ちからもっと税金取って格差是正!貧困対策!』も、気持ち的にはそうしたいけど、租税回避の策はいくらでもあるから逃げられてしまう。
例えば最近だと、相続税と贈与税一体化の方針で、「相続税対策の生前贈与」もできなくなる可能性が出てきました。でもそうやって金持ちを締め付けても、新たな節税策が生まれるだけ。
だから今よりももっと早く、必要な人にピンポイントにお金が届けられ、且つ参加者全員にメリットがある施策が必要です。
Kifutown(キフタウン)による『次世代納税』の仕組みができないか?
前澤友作さんが株主となっている、株式会社ARIGATOBANKの個人間寄付サービス『Kifutown(キフタウン)』。
現状は個人間の寄付が主なサービスですが、このKifutownで寄付したときに寄付金控除が認められないだろうか?つまり、『ふるさと納税』の仕組みを応用した『次世代納税』というのが僕の提案です。
ふるさと納税は地方自治体への寄付を行うことで寄付金控除が受けられる仕組みなのはご存知の通り。それを『経済格差の是正に寄与した』として、控除の対象にする新たな概念になります。
次世代納税のお金持ちたちのメリット
この次世代納税は、お金持ちにもメリットがあります。
仕組みはふるさと納税と一緒なので節税効果があるのが最大のメリットですが、もう少し使用目的を明らかにしたくないですか?
つまり
- 行政を介さないで世の中にスピーディーに寄付したい(経済を回したい)
- 国にたくさん納税するくらいなら誰かにお金を渡したほうがまだマシだ
- 自分はFIREなどで成功したので(業界やこれからの人々に)恩返しがしたい
- 独り身で相続する相手がいない代わりに現役世代に残したい
- 気に入らない政治家の懐に自分の税金が入るのを少しでも阻止したい
といった、もっと具体的に困っている人に金銭的支援ができ、且つ寄付金控除の対象となる。こうした『お金を有意義に使った実感』が欲しくないですか?ってことです。
税金を取られることの何が嫌かって、もちろん自分のお金が無くなることもそうですが、使途に納得がいかないことがあるでしょう?無能な政治家にお金が流れたり、財政破綻を謳う割に無駄な事業にお金が流れていたり。
それに、ふるさと納税をはじめとする寄付金控除の要件は地方自治体や非営利組織といった団体への支援が多い一方、直接に近い形で困っている個人にお金を渡す仕組みを控除の対象にしたものがありません。
Kifutownそのものも、寄付を受ける人にとっては嬉しい話であるものの、現状はほぼ抽選で絶対に受け取れるわけではない状態です。また寄付する人にとってはSNSのフォロワーを増やすといった心理的・数値的なメリットしかなく、もう一歩有利な何かがほしいところ。
そこを次世代納税と銘打って寄付金控除の対象にしてもらうことで、参加者全員がWin-Winを目指せないか?ということです。
次世代納税の国側のメリット
次世代納税の導入は国にとってもメリットがあります。
冒頭の「相続税対策の生前贈与」が難しくなる税制改正も、どうせ新しい節税の仕組みをもって対処されるだけでイタチごっこになるのがオチです。
『相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直して格差固定を防止する』というお題目のメンツも丸つぶれになりますし、そもそもこれのどこか『格差固定を防止する』ことに繋がるのか理解不能です。単に相続税をたくさん取りたいのがバレバレ。
やはりお金持ちたちのガス抜きは必須で、問題はその抜き方と行き先。財務省も国税局もどうせ金持ちにとっての悪者になるなら、そのための仕組みを容認すればいいのです。
そして、現在議論されているベーシックインカムは現実的に難しいのはご存知の通り。
国と税制の負担が大きすぎるうえ、『働かない人が増えるのでは?』という懸念もある。また財源確保のために増税したり社会保障をベーシックインカムに1本化したりすれば、必要な人への細かい支援はできなくなります。なにより社会構造がいっぺんに変わるのを、国民が望むとは思えません。
でも次世代納税なら、現行制度を維持したまま、お金持ちのガス抜きとして機能させつつ、ベーシックインカムよりも現実的な額の範疇で官民一体となって格差解消に寄与できるんじゃないでしょうか?
そもそも緊縮だPBだってやりたいなら、取るのが困難な天然物にこだわるばかりでなく、養殖による持続可能な税収も考えるべきです。
この先々、消費税をはじめ他の税金を増税する予定なんでしょ?したいでしょ?
しかしそうなったら現役世代の低所得者層や中間層へ悪影響が出ますから、今話題のSDGsの概念とは真っ向から対立し、デフレは解消できず、物価安定目標も達成できず、税収もたいして増えず、『議席の確保が難しくなる』と政権与党との軋轢も増えるでしょう。
だったらまず現役世代の所得を増やす施策として次世代納税を整備し、ふるさと納税で都市部の税収減が問題になったように国の税収が減るならお得意の増税で賄えばいい。次世代納税で現役世代の可処分所得が増えていれば、増税による彼らへの悪影響は低減されますから。
ちなみにそのふるさと納税の規模についての情報ですが、令和2年度の受入額実績は約6,725億円、控除額実績は約3,479億円です。
参照:ふるさと納税に関する現況調査結果(令和3年度実施) – 総務省(PDF)
仮に次世代納税の規模と同等だとした場合、これだけのお金が国の歳入減として考えられたとしても、他の増税で対処できるものじゃないですかね?
例えば総裁選で出てきた証券税制の増税による税収がおよそ3,000億円です。同程度の税収が見込めるなら、他の税金を上げてもいい。
前例という意味では既にふるさと納税の仕組みがあるわけですから、少なくとも数十兆~数百兆円単位で議論されているベーシックインカムよりは遥かに現実的な話です。
あまり大きな声では言えませんが、ベーシックインカムという巨額の税収が必要な仕組みを世論の意識が高まる前にけん制しつつ、名実ともに格差是正を謳いながら、それに伴う税収減を理由に増税可能なお題目が作れるという意味でも、検討の余地はありそうじゃないですか?財務省さん。
次世代納税で寄付を受ける側のメリット
そしてようやく寄付を受ける側のメリットになります。
前述の通り、例えば奨学金返済の肩代わりなんてどうでしょう?
僕も月約1.5万円、年間にしておよそ18万円近く返済していますが、これを肩代わりしてもらうだけでも、現行の贈与税の範疇内で奨学金返済中の現役世代の可処分所得が年間18万円は増えることになるんです。
18万円がどのくらいの金額かというと、
- 動画編集や配信に使えるデスクトップパソコン1台分
- 100万円代の新車の頭金や消費税分
- 18万円分のガチャ
です。めっちゃデカいし大体のことに使えますよ。
これならコロナ禍のような不況による奨学金破産も減らせ、奨学金制度も安定化するし、返済にかかる負担と給料の低さから地元・地方への就職を断念するような若者も減るかもしれません。
他にもビジネス用の寄付も設けて、開業時の一時金(個人ではなく法人アカウントに限定)、家賃・ローンの期間限定肩代わりなど、産業振興にも役立ちます。コロナ禍のような不況で職や店を失った人々を助け、様々な文化を途絶えさせないようにもできるので、クラウドファンディングと同様の可能性を1つ増やせるわけです。
地方自治体でも一時金や支援金の支給を行っているところがありますが、そんなにお金ホイホイ出してたらいつかは財政難になってしまいます。それにコロナ禍では『協力金が振り込まれるのが遅い』ことも度々取り沙汰されてきましたし、ネット経由で素早く振り込まれる仕組みは必須です。
あるいは災害発生地域に住む利用者への一時見舞金などとしてもいいですね。ポイントで寄付できるものもありますが、直接個人への支援にはつながりにくくスピード感にも欠けますから。
次世代納税のデメリット
はい、皆さんお待ちかね、デメリットのお時間です。
ご指摘したいことその通り、問題は山積み。
そもそも寄付金控除として認められなければビジネスになりませんし、法的に良しとされるまでかなりの時間がかかるでしょう。ある意味「お金の取引」になりますから、法改正をはじめとする複雑なルール作りも必要です。
法律の専門家ではない僕が少し考えただけでも、
- 寄付する者と受ける者の審査(反社チェック)の厳格化やマネーロンダリングの対策
- 仕組みを利用した脱税や過度な相続対策の防止(互いに匿名性にするなどピンポイント過ぎないように)
- 寄付を受ける側が課税(本末転倒なので)対象にならないよう年間の支援額を100万円以下に制限するなど(マイナンバーで個人情報や口座を紐付け二重登録を防ぐ)
- 寄付を受ける人達の負担にならぬよう、決済手数料(Kifutownの売上)や振込手数料は全額寄付者の負担にする
- 寄付する側が途中で途絶えないよう、用途ごとに専用の口座にプールしてそこに一括納付する形に限定する
- 寄付を受けたけど何らかの理由で返済したい(例えば、嫌いな人物や後に不適切行為が明らかになった人物が寄付に関わっていると知ったので心情的にお金を受け取りたくない)場合の返戻しの制度設計
あたりは想像できます。資金決済法あたりもネックになりそう。
さらにビジネスとしての持続可能性もデメリット。ビジネスモデルは手数料収入が基本ですし、寄付する人より寄付を受ける人が増えてしまうなど資金提供が困難になった場合にどうなるか。
あとは返礼品といった見返りがないので、ふるさと納税よりも見劣りするのもデメリット(そもそも寄付で見返りってのも変ですが)。前述した『お金を有意義に使った実感』『節税効果としての魅力』をどう感じてもらうか。
さらに国の税収減に伴う増税もデメリット。ふるさと納税が都市部の税収減になったように、次世代納税の概念では国の税収減(所得税の税収減)になりますから、『増税してもいいですよ』とインセンティブを国に付与することになります。
まとめ:次世代納税の概念で格差是正に寄与できないか?
『お金の若者離れ』なんて言われるくらい、現役世代の収入(可処分所得)は減少し続けています。日経新聞によれば、日本の年収は30年経っても横ばいのまま。しかし消費税はこの30年で10%に上がったわけで、これじゃあ物価上がるわけないし、結婚だ子育てだってできないでしょ。
参照:日本の年収、30年横ばい 新政権は分配へまず成長を : 日本経済新聞
ベーシックインカムも議論されていますが、実現可能性という意味では微妙なところ。議論されているお金の額がデカすぎるうえに、税制や社会保障の面で不安が残ります。
だからこそ、ふるさと納税を応用した個人への寄付『次世代納税』の出番です。
長々と書きましたが、
- お金持ち:もっと困っている人にピンポイントで支援したうえで節税したい
- 被寄付者:お金に困っているし格差是正にもっと真剣に取り組んでほしい
- 国:ベーシックインカムなんて無理だし、PB黒字化と社会保障の安定化のために増税したい
という各々の要望を実現可能な範囲で調整したのが次世代納税の概念になります。仕組みとしては既にふるさと納税という前例があるわけですから、寄付金控除など税制や法律面の課題さえクリアできれば。
これからの日本を担う世代の可処分所得を増やすこの次世代納税の概念、可能性の1つとしてでもいいから広まってほしいなと思っています。
~注目:M&Aマッチングサービス~
現在、景況感の悪化に伴い、M&Aマッチングサービスで事業やサービス、メディアを売却する動きが出ています。下記記事に詳細をまとめましたので、資金繰りの案としてご検討ください。
→[2020年最新版]事業や資産の売却(資金繰り)に使えるM&A(事業継承)マッチングサービスまとめ
スポンサーリンク
当ブログのスポンサー