「求人詐欺 内定後の落とし穴」読了。労働者よ!求人詐欺から自らを守ろう!
どうも!元ブラック企業被害者の@xi10jun1です。
先日、求人詐欺という言葉で記事を書いていたんです。そのときに、若者の労働相談で有名なNPO法人POSSE代表、今野晴貴さんの著書「求人詐欺 内定後の落とし穴」が出されることを知り、昨日購入しました。
今回はその感想なんかを明記していきます。
「求人詐欺 内定後の落とし穴」の概要
書籍の概要は、求人詐欺の実態と被害の状況、求人詐欺が横行する理由やその対策がメインに書かれています。「内定」という言葉があるので、就活生向けですかね。
なお著者である今野晴貴さんは、労働相談を中心に活動する若者主体のNPO法人POSSE(ポッセ)の代表を務めていらっしゃる方です。実は学生時代に少しだけお話を聞いたことがあって、アルバイトでも残業代が出ることを伺いました。
POSSE(ポッセ)の公式サイトはこちらです。
http://www.npoposse.jp/
感想:求人詐欺の問題は想像以上に複雑
本書が画期的なのは次の2点に尽きます。
- 求人に詐欺があることを実態と対策を交えて解説している。
- 求人詐欺が起きてしまう、制度・構造上の原因についても言及している。
求人詐欺の実態があまりに悲惨
まず本書で随所に紹介されている実態があまりに悲惨なのです。
例えば、「適応障害」「うつ病」と診断されるまで働き続けたAさんの事例。
勤務時間は、求人情報通り9~18時で定時で帰れるときもあったが、ほとんどは朝8時から21~22時くらいまで働いていた。外回りの営業を終えて17~18時くらいに帰社すると、電話営業が待っている。イベント開催日は、朝6時半 から21時まで、客がいたら22~23時まで働く。残業中は、「証拠の隠滅」のためなのか、会社はパソコンの電源を落とすことになっていた。
残業時間は月80時間を超えていた。休憩は決まった時間ではなく、多くても1日平均30分ほど。もっとハードに働く上司からは、「2日間は、寝なくても食べなくても大丈夫」と言われた。休日出勤もあった。
引用元:求人詐欺 内定後の落とし穴より
「朝8時から21~22時くらいまで働いていた。」この一文にして既に恐ろしいわけです。実は僕もこの労働時間で働いていたことがあるんですが、もう頭がクラクラするわ重くなるわ、とても集中力なんて持続しません。
ことさらにおかしいのは「2日間は、寝なくても食べなくても大丈夫」って上司の言葉。もう意味不明ですよ。何の生き物ですかそれ?
こうした事例が随所に紹介されているわけです。
そして何より悲惨だと感じたのは、被害者が若者であるということ。
未来ある若者が過酷な労働により使い潰されてしまい、キャリアを奪われ、最悪命まで落としてしまうのです。
それが現実問題として起こっていることに、憤りと悲しみを覚えました。
求人詐欺が起きてしまう、制度・構造上の原因
しかし、こうした求人詐欺が起きてしまう背景には、会社や業界の収益構造や制度にも原因があると、本書では言及されています。
例えば介護業界についてはこのようにまとめられています。
「賃金が低いから人が集まらない、しかし賃金を上げることは構造的に難しい」。だから詐欺をしてでも、条件を高く見せるところが出てくるのだ。
引用元:求人詐欺 内定後の落とし穴より
求人詐欺と聞くと、企業が過酷な労働を強いているとか、賃金が低いといった面に目が行きがちになってしまいます。
しかし視点を変えてみると、そこには求人詐欺を誘発してしまう背景があるわけです。本書ではこの背景についても詳しく書かれていて、ブラック企業問題の根深さは思った以上だと認識させられます。
求人詐欺の対策法
そうは言っても、黙っていては何も解決しないわけです。確かに求人詐欺は問題ですが、だからといってそれに甘んじる必要はまったくありません。
事実として、求職者の9割はハローワークの求人を信じていません。
https://ytrsdijun.com/archives/6459
人手が足りない→嘘をついてでも人を雇う→求人と違うから辞めていく→人手不足→・・・。求人情報が信用されていないのは、求人詐欺が繰り返された結果なのです。僕としては、人手不足は自業自得だとは思いますが・・・。
とはいえ、本書でも言及されていますが、政府はこの状況をほったらかしにしています。
信じられない、誰も助けてくれない。
だからこそ、これからの労働者は万が一に備えなければならないと、この本は教えてくれています。
まとめ:もう労働者が何もできない時代ではない!求人詐欺から自らを守ろう!
この本を読み進めるにあたり、求人詐欺の問題は決して単純ではないことがよくわかって、正直ため息をついてしまいまいました。
政府、企業、労働者。それぞれに事情と問題があるものの、結局そのしわ寄せは「長時間労働」「残業代未払い」といった形で労働者に向けられてしまう。それを思うと、どうにもできないような、手詰まり感を覚えてしまったのです。
でも本書の冒頭で、今野晴貴さんはこのように述べていらっしゃいます。
きちんとした見分け方や対処法を知っていれば、詐欺企業の手口に対応することができる。本書を使い、詐欺企業に負けないノウハウを身につけてほしい。
引用元:求人詐欺 内定後の落とし穴より
自衛の手段を知ること。そして適切に対処することにより、自分のキャリアや尊厳、命を守ること。これからの労働者には、こうした手段を取ることが求められてくるのでしょう。
その結果として市場原理が働けば、求人詐欺を減らしていけるのではないでしょうか?
最後に、特にこの本を読んで欲しいのは就活生の方ですが、求人詐欺は就職後に分かることが多いという点では、一般の方も是非読んでほしいなと思います。
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